症例
- 横浜市桜木町の歯医者「みらい歯科」TOP
- 投稿情報
- 症例
- 【症例】20年以上メインテナンスで対応しながら、インプラントやジルコニアセラミックで治療
【症例】20年以上メインテナンスで対応しながら、インプラントやジルコニアセラミックで治療
2024.09.10
治療内容 | 2003年から20年以上にわたりメインテナンスで対応しながら、右下にインプラントと前歯6本をジルコニアセラミックで治療 |
---|---|
期間 | インプラント:4ヶ月 ジルコニアセラミック:2ヶ月 |
治療回数 | インプラント:8回 ジルコニアセラミック:6回 |
費用(施術当時の料金) | インプラント440,000円(税込) ジルコニアセラミック792,000円(税込) |
治療前の状態・主訴
今回は2003年からメインテナンスで通院していただいている50代の男性の患者様の症例です。
初診時は、右下の6番目の奥歯が痛いとのことで来院されました。かなり虫歯が大きく、神経の処置を行い、被せ物をする治療を行いました。下記が当時のレントゲン写真になります。
そこから12年ほど経過し、右下が腫れて痛みがあるとのことで来院されました。お仕事で長期の海外出張へ行かれることが多い患者様でしたので、ご来院いただき細かいケアをすることが難しい状況での歯肉の腫れでした。レントゲン写真で確認をしたところ、歯根が割れていて膿みが溜まっている状態でした。
治療詳細
患者様は、もともと非常に噛み合わせが強く、マウスピースは必ずお休みの時に付けていただくようにしていたのですが、海外出張中にマウスピースが破損してしまい、そこから疲れると時々歯茎が腫れてくる状態が続いていたようでした。
神経をとってしまった歯は、どうしても破折というリスクがあります。特に銀歯は天然の歯に比べるとかなり硬く、表面も粗い素材となるため、年月が経過してくると強く当たるようになってしまうケースがあります。
該当歯は破折が進み炎症がおきている状態だったため、一度抗生物質を服用していただき炎症を落ち着かせてから抜歯を行いました。抜歯を行う前にその後の治療方法を相談させていただいた際インプラントをご希望されましたので、抜歯後に骨の治りを良くするコラーゲンのお薬を中に入れて縫合しました。
そこから2ヶ月後、CTを撮影し、オペの詳しい方法をお伝えしました。
歯根破折を起こしてから長い時間が経過したことで、ご自身の骨がかなり減ってしまっている状態した。CTの画像を見ていただくとわかるのですが、かなりの骨が失われていることがわかります。特に2本ある根のうち、手前の根の炎症が強く、骨がほとんど残っていない状態でした。
抜歯後2ヶ月目のCTでこの状態ですので、これ以上時間を空けると、既存の骨も減少していってしまう可能性を考慮し、今回はインプラントと同時にしっかりと骨造成(GBR)を行うことをご説明しました。
当院のインプラントのオペは基本的には局所麻酔で行うケースが多いです。インプラントのオペは基本1本と骨造成のケースであれば1時間程度で終わりますので、普段の虫歯の治療をそれほど変わりない感覚で受けていただけると思います。また、オペ直後であっても、今回のような一本だけのケースでは、インプラントを埋入した場所を避けていただければ食事を取ることも可能です。
今回のオペも1時間ほどで終わりました。ただ、インプラントの埋入と同時にかなり多くの骨造成を行いましたので、術後腫れるリスクがあることをお伝えしました。
以下がインプラントを入れた直後のレントゲン写真になります。手前の根の部分に骨がなく、インプラントの初期固定を得ることが難しかったので奥側の根の部分にある骨を利用してインプラントの安定を図りました。手前の骨がない部分には骨補填剤を入れてあります。
今回は、ここから3ヶ月ほど待ちました。骨造成をあまりしない場合、インプラントは最短6週あれば固定できると論文でも示されています。当院では安全をとって2ヶ月ほど待たせていただくのですが、今回は骨を作る量が多かったため、3ヶ月と少し長めに待たせてもらいました。
3ヶ月後、骨と問題なく結合できたことが確認できましたので、型取りを行い上部構造のセットをしました。
レントゲン写真でもしっかりと骨ができていることが確認できます。
そこから8年ほど経過したのちに、だんだんと上の前歯に詰めてあるプラスチックが欠けるようになってきました。
初診で来院された時から、広範囲にプラスチックの詰め物が入っていたのですが、年齢と共にご自身の歯もすり減ってきてプラスチックが欠けるたびに詰める面積が大きくなってきてしまいました。
プラスチック自体がそれほど強い材料ではないため、食いしばりが強い方ですと、すぐかけてしまうことがあります。以前から欠けて詰めてを繰り返して対処していたのですが、詰めるのも厳しくなってきてしまったため、患者様にジルコニアセラミックで治療することをお勧めしました。ご本人も以前からホワイトニングなどをされて歯の色が気になっていたようなので、これを機会に一度歯の形態と色と噛み合わせを整えることにしました。
初めに、現在の歯の形をとり仮歯の作成を行いました。写真を見ていただいてもわかるように、歯がかなり擦り減っていることが確認できました。出来上がった模型を元に技工士さんと相談をさせてもらい、噛み合わせの調和を取れる歯の大きさを確認しながら仮歯を作成してもらいました。
仮歯が完成した後に、2時間ほどお時間を頂き、即日、全て削って仮歯をセットしました。この形でしばらく使用していただくと、仮歯はプラスチックの素材でできているため日中や夜間に食いしばりや歯軋りをする方は仮歯がすり減ってきます。そのすり減り方を見ながら顎に負担がないように仮歯を調整していきます。今回も仮歯を使用していただいた後に、咀嚼・発音・形態に問題がないことを確認し、型取りを行いました。
当院では型取りを行う時に、ジルコニアセラミックを専属で作成して頂いている技工士さんに直接歯の色の写真を撮影してもらっています。今回の患者様は歯の色が非常に濃く複雑な色合いをされていました。ご自身の歯の色を再現することも可能なのですが、せっかく全て綺麗にするのでと、少し白い色で極力グラディエーションの少ない色を選ばれました。
型取り後二週間ほどで被せ物が完成してきますので、セットを行っていきます。
セット後の写真になります
色合いも形も問題ないためセットを行いました。全て一本ずつ、つなげることなく作成をしています。噛み合わせも安定し、再度マウスピースを作成して今回の治療は終了となりました。
治療後の様子
今回の患者様はインプラントとジルコニアセラミックという2点をピックアップしてご説明させていただきましたが、これは長い治療履歴の中のほんの一部分に過ぎません。
どちらかというと、欠けてしまった所の小さな虫歯の治療や普段のメインテナンスで来院されている回数の方が圧倒的に多い方です。この長い年月で一本だけ歯を失ってしまいましたが、そこまで大きな変化なく過ごせてきたのは、一重に患者さんの努力の賜物だと思います。
当院では少しでもご自身の健康な歯が残る様に治療計画を立てさせて頂いています。同じレントゲン写真を見てあまり大きな変化がないことが一番良いという思いで日々の診療にあたっています。
主な副作用・リスク
・予後を完全に保証するものではありません
・自由診療での治療となります
・歯の萌出方向・残っている量によっては神経を取らないといけないケースがあります。
・治療終了後にしみる症状、咬むと痛いなどの症状が出る場合があります
最も大切なことは、口腔内のバランスが取れた治療を行うことです
今回のように、20年以上という長い年数同じ患者様を拝見していると、多くのことが見えてきます。例えば、被せ物などの人工物は口腔内という過酷な環境ではどんどん劣化をしていきます。これは、ご自身の歯も同じです。インプラントやジルコニアセラミックで治療を行い治療直後はすごく快適になると思います。その快適な状態を他の歯と調和しながら保つことで、長く使っていただくことが治療において一番大事なことだと考えています。変化し続ける口腔内の環境を、問題が大きくなる前に少しずつメインテナンスで対処していくことがご自身のお口の中を守る一番の近道となります。私たちの仕事はそのお手伝いが出来ればと思いますので何でも遠慮なくご相談ください。
みらい歯科 院長 出口 真太郎
こちらもご参照ください