患者様は20代の女性の方で、当院で前歯の治療を行いたいとのことで来院されました。 

以前転倒してしまった際に前歯を折ってしまい、お住まいの地域の歯医者さんで仮歯を入れて様子を見ていたとのことでした。歯並びも気にされており、マウスピースで矯正を行ってから修復するように治療を進めていたそうでした。 

拝見させていただくと、仮歯はかなり古く黄色味がかっている状態でした。外傷歯の場合は、受傷後数年経ってから神経が死んでしまったり、根が吸収されて短くなってしまったりするケースもあるため注意が必要です。今回のケースでは、レントゲン写真で問題がないか、そして電気的歯髄診断機を用いて神経の反応に問題がないことを確認し、今後リスクがある歯である旨を患者様にもお伝えしました。 

前歯の治療は、治療方法のご相談→仮歯の作成→型取り、色彩の撮影→完成→メインテナンスという流れで進んでいきます。 

今回のように仮歯がかなり変色している場合は、まず仮歯を新製して形態や色調などを見ていただくことが多いです。しかし、今回は矯正終了後すぐとのことで少し制約がありました。  

マウスピース矯正は、基本的に食事と歯磨きをするとき以外は装着したままにし、歯を動かします。歯の移動が完了しても、動かした期間と同じだけ、さらにマウスピースをはめておく必要があります。（例えば、1年間歯を動かすのに時間がかかった場合は、その後1年は保定期間としてマウスピースをつけたまま生活していただきます。） 

動かした歯が元の位置に戻ってしまわないうように、この保定期間でいかにしっかりと固定を行うかが重要になります。

今回のケースは歯の移動が完了したばかりなので、現在の歯の形態を変えてしまうと、今まで使用していたマウスピースが使用できなくなってしまいます。そのため、今ある仮歯の位置を全くずらさずに調整を行う必要がありました。ちなみに、仮歯の長さを長くしたい、ボリュームを増やしたいという場合は仮歯の期間中に新しくマウスピースを作成する必要がありますが、患者様は色調以外全く不満がないとのことでしたので、今回は形態の修正は行いませんでした。

歯茎と調和する形態で仮歯を作成するために、再度支台歯の形を整えて仮歯の修正を行いました。歯茎に炎症はなく非常に健康な状態でしたので、仮歯を調整した翌週には型取りを行い、その時に技工士さんに来院してもらって歯の色を撮影しました。2週間で被せ物が出来上がり、色と形が問題ないことを確認してセットいたしました。 

色も形態も非常に満足されており喜んでいただけました。

今後は歯並びが後戻りしないかをチェックしながら、外傷で折ってしまっているので症状が出ないかどうかを定期検診でチェックしていく予定です。 

・予後を完全に保証するものではありません。

・自由診療での治療となります。

・歯の萌出方向・残っている量によっては神経を取らないといけないケースがあります。

・治療終了後にしみる、咬むと痛いなどの症状が出る場合があります。

当院の治療では機能性と審美性の両面を追求しています

ジルコニアセラミックは金属を全く使わないため、天然歯特有の透明感の表現に非常に優れています。人の歯は先端に行くほど薄くなっていくため、青味がかった透明感が出てくる方が多いです。この色調再現が非常に重要となってきます。

当院のジルコニアセラミックは、デンタルビジョンという馬車道アイランドタワー歯科に隣接する技工所の方が作成してくれています。色調再現は技工士さんのテクニックとセンスに依存するので、今回のような少数歯のケースはいつも助けられています。

前歯の治療は審美的な要求を満たすことが大前提なのですが、顎を誘導するという機能的に非常に重要な役割を持っています。

当院での前歯の治療はただ綺麗にするだけではなく、機能性（咀嚼・発音・清掃性）を網羅して常にお手入れしやすく、長くお口の中で使用していけるように留意しております。

また、今回のように矯正後の制約があるようなケースも、可能な限り対応させていただきますので、何か気になることあればご相談ください。

みらい歯科では、様々なケースにご対応できるよう、患者様に治療の選択肢をご提示しております。

歯やお口周りに、お困りの症状や気になることがございましたら、どんな些細なことでもどうぞお気軽にご相談ください。また、他院で入れたセラミックのメインテナンスも受け付けております。どうぞお気軽にご連絡ください。

みらい歯科　　院長　出口　真太郎

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