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【症例】大きな骨欠損に対して骨造成を行い、入れ歯からインプラントへ
2024.01.19
治療内容 | 歯周病の治療と抜歯を行い、大きな骨欠損に対して骨造成を施行し、段階的にインプラントを埋入 |
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期間 | 1年6ヶ月 |
治療回数 | 42回 |
費用(施術当時の料金) | 1,672,000円(税込) |
治療前の状態・主訴
今回の患者さまは50代男性の方で、ご家族からの紹介で来院されました。下顎に入れ歯を使っていらっしゃいましたが、奥様がインプラントを入れて快適に食事をされているのを見て、自分もインプラントにできないものかと思っていたとのことです。前歯の被せ物が外れてしまったことをきっかけに、当院に来院されました。
お口の中を拝見させていただくと、全体的に歯周病や歯根破折している部分が見られたため、まずは歯周病の治療と抜歯を行いました。
インプラントはチタンでできていて、一度骨と結合するとかなり長期にわたって使用することが可能な材料です。金属ですので虫歯になる心配もありません。ただ、骨と歯茎に覆われているため、天然の歯に比べると歯周病菌には弱い性質があります。
ですので、インプラントを長く維持していくためには、まずは口腔内の歯周病菌の数を極力少ない状態にすることが非常に重要になってきます。
そのため、インプラントを行う場合、歯周病がある患者さまは先にそちらの治療から行います。
今回の治療は歯周病の治療と骨の治療、およびインプラントの治療を並行して行なっていくため、一朝一夕にはいかない治療でした。治療方針について患者さまと相談を重ねながら、二人三脚で治療を進めていきました。
治療詳細
まずは、歯根破折している左下の犬歯と小臼歯の抜歯を行いました。術前に新しく入れ歯の型取りをして、抜歯と同時に新しい入れ歯を装着しました。
右下の犬歯はかなり膿疱が大きく、抜歯後には大きな骨の欠損が見られました。
インプラントは骨の中に埋入しないといけないのですが、大きな骨の欠損がある状態では非常に治療が難しいため、今回は、先に骨を作ってからインプラントを埋入するという流れで、手術を2回行うことにしました。
抜歯後は抜いた穴と歯茎が治るまでおおよそ2ヶ月ほど期間を空けます。
2ヶ月後に撮影したCTではかなり骨が少ないことが伺えます。
1回目の手術で犬歯の部分に骨造成(GBR)を行いました。
この手術にかかる時間は1時間半ほどで、局所麻酔下にて行うので、普段の歯科治療と同じような感覚で受けていただけます。当日は麻酔が切れた後であれば食事も取っていただけます。術後は激しい運動・飲酒をさけ、入浴もシャワー程度にしていただければ、あとは普通に生活して頂いて大丈夫です。
ただ、どうしても手術後は傷口からの出血が少しあります。
それを気にして強くうがいしてしまうと傷口が開いてしまうので、当日は強いうがいだけは控えてもらうようにしています。
この症例のように、大きな骨欠損に対して骨造成を行うと、一週間ほど腫れて青痣ができるケースもあるのですが、今回はそこまで大きな腫れや痛みもなく経過も非常に良好でした。あまりに痛みが少なかったので患者さまも驚いていらっしゃいました。
左下の小臼歯部も大きな骨欠損がみられたのですが、幸い奥の骨がしっかりとしていたため、今回はそちらにはインプラントは埋入せず、後方に2本埋入する形を取りました。
基本的には、骨がしっかりしている場合、インプラントの手術は1本埋入するだけでしたらさほど大きな痛みなく経過することがほとんどです。
手術後、骨ができるまでは約4〜6ヶ月かかります。その間に、インプラント治療が必要な他の部分にも手術を行っていきました。
上記のレントゲン写真でもわかるように、月を追うごとに手術を行った部分の骨が色濃くなっていき、犬歯部分の骨が形成されていきました。
その後、インプラントを埋入するために、再度CTを撮影しました。
CTでもしっかりと骨が形成されたことが確認できたため、インプラントの埋入を行いました。
骨の状態も、骨造成を行なったところとご自身の骨との区別がつかないほどに状態がよく、インプラントは全く問題なく埋入することができました。
その後2ヶ月待ったのち、下の歯は全て同時に型取りをし、一気にセットを行いました。
治療後の様子
3年たった現在でも今回治療したインプラントを問題なく使用していただいております。
患者さまは歯みがきも非常に丁寧にできており、セルフケアもきちんと行っていただいているようです。加えて、定期的に通院していただいてメンテナンスを行っています。
主な副作用・リスク
・予後を完全に保証するものではありません。
・自由診療での治療となります。
・喫煙の有無や全身疾患の有無で、骨造成の治療において、骨が形成されない可能性があります。
・インプラントは、骨の硬さや定着期間中の強い衝撃などにより、骨と結合しないケースがあります。
・インプラントは骨と直接結合するため、10年ほど経つとインプラントとご自身の歯の間に隙間が開いてくることがあります。
・顎の中には神経が多くあります。大きな神経は避けてインプラントは埋入しますが、CTにもうつらない細い神経の枝がある可能性があります。その場合麻痺ができるケースがあります。ただ、小さな神経の枝なので、半年ほどで麻痺が消失するケースがほとんどです。
治療した歯やインプラントができるだけ長く口腔内で機能するように
今回は、大きな膿疱が根の先端にできてしまい、それを抜歯し、膿疱摘出を行いましたが、骨が大きく失われていたケースに対して、骨造成を行い、インプラントを埋入した症例をご紹介しました。
昨今、インプラントは非常にポピュラーな治療方法になってきました。
歯の欠損の治療としては、他にも部分入れ歯やブリッジ治療が挙げられます。
入れ歯は、人工の歯を留め具で固定するものです。入れ歯は完全には固定されていないため、どうしても機能的に咬合力を受け止めることが難しくなり、噛む力が落ちてしまうケースがあります。
ブリッジでは、両隣の歯を削り、3本一体型の被せ物を装着します。ブリッジは、天然歯と同じくらいの嚙む力することも可能ですが、。ブリッジを繋げた部分の歯牙が一本でもダメになってしまうと全てをやりかえないといけなくなってしまいます。
そういった場合には、噛む力も天然歯とほぼ同等に治療できるインプラントは、非常に有効になります。
しかし、インプラントが万能というわにけではありません。インプラントは骨と強く結合するので、決してその場所から動くことがありません。逆に天然の歯は年齢とともに削れていき、毎年少しずつ動いていきます。
インプラントを長く使用していくと、周りの歯は動きますがインプラントは動かないので、急に歯の当たりが強くなったり、逆に当たらなくなったりするケースが時々見られます。
ですので、インプラントを長く持たせるためには、定期的なお掃除とかみ合わせのチェックが非常に重要になってきます。
今回の症例でも、患者さまと一緒に長い治療期間を歩み、治療は終了しましたが、その後、定期的に通院していただいていることもインプラントを継続して使用していくにあたって非常に重要なポイントです。
インプラントの治療が多数の歯にわたる場合は、かみ合わせや歯周病の有無など、留意する点が数多くあります。
当院では、安易に歯がなくなった場所にインプラント治療を勧めるのではなく、治療を行なった歯が、口腔内でできるだけ長く機能するようにと、極力、治療期間・費用・手術の侵襲が少ない治療方法をご提案させて頂きます。
様々なケースにご対応できるよう、患者さまに治療の選択肢をご提示し、それぞれのメリットとデメリットを丁寧にご説明して、患者さま一人ひとりに合った治療をご提供いたします。
歯やお口周りにお困りの症状や気になることがございましたら、どんな些細なことでもどうぞお気軽にご相談ください。
みらい歯科 院長 出口 真太郎
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