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【症例】歯根破折した前歯を抜歯後インプラントを埋入した審美治療
2024.05.07
治療内容 | 前歯の歯根破折した部位に抜歯後インプラントを埋入した審美治療 |
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期間 | 7ヶ月 |
治療回数 | 12回 |
費用(施術当時の料金) | インプラント 297,000円(税込) ジルコニアセラミック+カスタムアバトメント 176,000円(税込) |
治療前の状態・主訴
患者様は、50代男性の方です。前歯がグラグラして腫れてきたとのことで来院されました。
治療詳細
お口の中を拝見すると、被せ物が外れているだけでなく、歯根自体が割れてしまっていました。お口の中は何もしていなくても腫れていて、出血と排膿がある状態でした。
歯周ポケットを測ると破折部分が12mm以上あり、炎症もかなり強いため、今回は抜歯をすることとなりました。
抜歯後の治療には入れ歯・ブリッジ・インプラントなど、さまざまな選択肢があります。丁寧にご説明させていただき、ご相談の結果、今回はインプラントをご希望されました。
ただ、今回は前歯なので、抜歯後に一時的に歯がなくなると目立ってしまいます。初回に仮歯の型を取らせていただき、抜歯後は仮歯を入れることになりました。
今回のケースでは、腫れてはいたものの、幸いにも痛みなどの症状がなかったため、スムーズに型取りを行うことができました。
急性症状が強い場合や、前歯の被せ物が脱落してしまっている場合でしたら、即日で仮歯を作成することもあります。
その後、抜歯を行いましたが、唇側の骨は炎症で溶け、ほとんどなくなってしまっている状態でした。
抜歯後はかなり多くの膿疱があったため、しっかりと搔爬を行いました。抜歯した後の穴にコラーゲンのスポンジ状の薬を入れ、穴が早く塞がるように処置を行いました。
2ヶ月後、抜歯したところの歯茎がきれいに治ってきたため、CTの撮影を行いました。
CTで確認すると、抜歯時に観察したとおり、骨がかなり失われている状態でした。
日本人は、前歯の唇側の骨は0.5mm〜2mmとかなり薄いです。抜歯を行うと、必ずと言っていいほど骨が落ち込みます。あまりに骨の損失が大きい場合は、以前のブログにもご紹介したように、はじめに骨だけ作って、その後でインプラントの埋入を行う場合もあります。
今回のケースは非常に際どいところでしたが、抜歯したときの骨の硬さや周りの歯茎の厚さなどを考慮して、インプラントの埋入と同時に骨造成も行えると判断し、一回で手術を行うこととしました。
以下、インプラント埋入直後のレントゲン写真です。
前歯は審美領域ですので、極力、歯肉も天然の歯が存在していた状態に戻さなければなりません。抜歯をすることで、骨はもちろん歯肉も痩せてしまいます。
今回のインプラントは完全に骨の中に埋めてしまい、一度歯肉で完全に封鎖をしています。この場合、上の被せ物を被せる時に再度歯肉を切って形態修正を行わなければならなくなりますが、手間がかかっても歯肉の調整を行うことで、見た目を整えることができます。
事故や歯周病などで多くの歯茎が失われてしまった時には、歯肉の移植を行うケースもあります。
今回は4ヶ月待った後、インプラントの頭出しのオペと歯肉の調整を同時に行い、仮歯を調整しました。骨も良好にできていて、歯茎の状態も問題なく、無事に仮歯のセットができました。
その後、型を採り、当院の技工士さんに右隣の前歯に合わせてジルコニアセラミックを作成してもらいました。
治療後の様子
治療後は、色も形も問題なく、歯茎も術前と変わらない状況が得られたため、患者様にも満足していただけました。
現在は左右の奥歯にインプラントの治療が必要なため、現在はそちらに着手をしております。また無事に治療が終了しましたら、ブログにて掲載させていただきます。
主な副作用・リスク
・予後を完全に保証するものではありません。
・自由診療での治療となります。
・喫煙の有無や全身疾患の有無で、骨ができない可能性があります。
・インプラントは、骨の硬さや定着期間中の強い衝撃などにより、骨とくっつかないケースがあります。
・インプラントは骨と直接くっつくため、10年ほど経つとインプラントとご自身の歯の間に隙間が開いてくることがあります。
・顎の中には多くの神経があります。インプラントは大きな神経を避けて埋入しますが、CTにもうつらない細い神経の枝がある可能性があります。その場合、麻痺ができるケースがあります。ただ、小さな枝なので半年ほどで消失するケースがほとんどです。
抜歯後の治療に関してお悩みの方はご相談ください
昨今、インプラントは非常にポピュラーな治療方法になってきました。
治療の選択肢としては、インプラントの他に、入れ歯やブリッジが挙げられます。
しかし、どうしても入れ歯では機能的に咬合力を受け止めることが難しいケースがあります。かといってブリッジで繋いでいってしまうと、繋げた部分の歯牙が一本でもダメになってしまうと全てをやりかえる必要があります。そういう場合には、インプラントは非常に有効になります。
ただし、インプラントは万能というわけではありません。インプラントは骨と強く結合するので、決してその場所から動くことがありません。逆に、天然の歯は年齢とともに削れていき毎年少しずつ動いていきます。つまり、インプラントを長く使用していくと、周りの歯が動いていくのに対してインプラントは動かないため、急に当たりが強くなったり、逆に当たらなくなったりするケースが見られます。
ですから、インプラントを長く持たせるためには、定期的なお掃除とかみ合わせのチェックが非常に重要になります。
また、インプラント治療を行うと、将来的に隣の歯がダメになった時はブリッジや入れ歯などの選択肢が難しくなるケースがあります。そのため、将来も見据えて治療計画を立てることが必要になります。
みらい歯科では、様々なケースに対応できるよう、患者様に治療の選択肢を提示しております。
インプラントの治療が多数の歯にわたる場合は、かみ合わせや歯周病の有無など、留意する点が数多くあります。
当院では、安易に歯がなくなった場所にインプラント治療を勧めるのではなく、治療を行なった歯が出来るだけ長く口腔内で機能するようにと、極力、治療期間や費用、手術の侵襲が少ない治療方法をご提案させていただきます。
歯やお口周りにお困りの症状や気になることがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので、どうぞお気軽にご相談ください。
みらい歯科 院長 出口 真太郎
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