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【症例】歯根破折から歯根吸収をした前歯に対するインプラントとジルコニアを用いた審美治療
2025.02.13
治療内容 | 根が割れていて歯根吸収を起こしている歯に対して、抜歯の後インプラントとジルコニアセラミックで治療 |
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期間 | 11ヶ月 |
治療回数 | 16回 |
費用(施術当時の料金) | 984,000円(税込) |
治療前の状態・主訴
患者様は50代女性の方で、初診時に右上の前歯の歯茎から膿みが出ている状態でした。レントゲン写真撮影して確認したところ、歯の根の中が破折してしまっているようで、歯根が吸収を起こしている状態でした。他院でも以前からその箇所について指摘があったようで、ご本人もご自身の歯がもう持たない状態であることはご存知でした。
改めて、今回の状況といくつかの治療方法をお話しさせていただき、今回はインプラントとジルコニアセラミックを使用して治療していくことになりました。
術前のレントゲン写真がこちらになります。
治療詳細
まず初めに、右上2番目の歯を抜歯して嚢胞(歯根部分に膿が溜まってできる袋状の病変)を摘出することから治療を開始することになりました。
しかし、前歯を抜歯してしまうと見た目が悪くなってしまうため、予め仮歯の型取りを行い、今回は4本つながった仮歯を前もって作成しておきました。そして、右上の抜歯の後、即日で仮歯をセットしました。
やはり、歯根に大きくヒビが入っている状態で、中にかなり多くの嚢胞が形成されていました。嚢胞は抜歯するときに同時に全て綺麗に除去しないと、後々骨が再生する段階で骨ができなくなってしまいます。
ですから、インプラントを予定している場合は、顕微鏡を使って骨へのダメージを極力少なくしつつ、取り残しがない様に細心の注意を払いながら抜歯をおこなっていきます。
根管治療後のレントゲン写真がこちらになります。
その後、仮歯で歯茎の治癒を待っている間に前歯の神経の治療を行っていきました。根の治療が終わった後にファイバーコアをセットして、仮歯の調整を行いました。
抜歯後、2ヶ月ほど様子を見させていただいてから撮影したC T画像がこちらになります。
元々歯根嚢胞が非常に大きかったため、術後は骨が失われることが予想されていましたが、思っていた以上に唇側の骨がない状態でした。
そのためこの状態では、インプラントを通常の様に埋入するのは非常に厳しい状態に思われました。
患者様には、予め骨を作成してからインプラントを埋入する2回に分けてオペを行う方法か、インプラントと同時に埋入して骨を作成する方法のどちらかになりますとご説明させていただきました。
C T上でインプラントのシミュレーションなどはできるのですが、実際の細かい骨の状況や硬さなどは、オペで直接骨に触れるまでわかりませんので、今回は状況を見てオペの手順を決めることとなりました。
オペ当日、骨の状態を確認させていただくと、C Tの通りで頬側の骨は全くない状態でした。初めは骨造成のみの治療になるかと思いながら進めていきましたが、骨質がしっかりされていて骨が硬いため、何とかインプラントの埋入をすることができました。
ただ、現状では8mmのインプラントを使用したのですが、6mmほど頬側のインプラントは骨から露出した状態となったので、Biossという骨補填剤を使用して骨を作成しました。
インプラント埋入後のレントゲン写真がこちらになります。
術後、少し腫れは出ましたが、そこまで大きな痛みもなく2週間ほどで傷口は落ち着きました。そこから、4ヶ月ほど骨が安定をするまで仮歯を調整しながら生活していただきました。レントゲン写真上でインプラントの定着が確認できましたら、今度はインプラントの頭を出すために再度歯茎の処置をしていきます。
その後、仮の歯を修正させていただき、歯茎の形を作成させていただいたら型取りをして完成となります。
治療後の様子
今回のインプラントの一番難しい部分は、歯茎の管理でした。通常、骨の下支えを失った歯茎は、どんどん痩せていってしまいます。ですので、今回は歯茎がある程度回復をしてきたら、すぐに骨造成のオペに取り掛かりました。それでも、歯茎が下がることは食い止めることが出来ませんでしたので、上顎の裏から歯茎を採取して移植することもご提案させていただきました。ただ、今回のケースは幸いなことに歯茎の上の方はお口を開けても見えない方で、ご本人もそこまで気にならないとのことなので、ある程度の形態をつけて後は仮歯でうまく調整をしました。
今まで仮歯を使用していただいていたので、新しく歯を入れても違和感なく使用でき、発音や咀嚼障害などもなく経過しています。
治療後の写真がこちらになります。
主な副作用・リスク
・予後を完全に保証するものではありません
・インプラントは自由診療での治療となります
・骨造成は喫煙の有無や全身疾患の有無で骨ができない可能性があります。
・インプラントは骨の硬さや、定着期間中の強い衝撃などにより骨とくっつかないケースがあります。
・インプラントは骨と直接くっつく為、10年ほど経つとインプラントとご自身の歯の間に隙間が開いてくることがあります。
・顎の中には神経が多くあります。大きな神経は避けてインプラントは埋入しますが、C Tにもうつらない細い神経の枝がある可能性があり、麻痺ができるケースがあります。ただ、小さな枝なので半年ほどで消失する場合がほとんどです。
患者さまの審美に対する価値観を大切にした丁寧な治療を行っています
今回のような天然歯とインプラントが混在する場合の治療は、歯茎のマネージメントに非常に苦慮するケースが多いです。
当院では、初めに一度全体のご説明をさせていただくのはもちろんのこと、ステップごとに現状の進み具合や当初予定していた状態からの変化などもその都度ご説明をさせていただいております。特に、前歯の形や色はご本人の審美に対する価値観がまちまちですので、仮歯などを利用しながらその方にあった歯の形態をご提案させいていただいています。ですので、治療をご希望の際は、遠慮なさらずにどんどん希望を伝えていただけると助かります。
歯やお口周りにお困りの症状や気になることがございましたら、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
また、他院で入れられたセラミックのメインテナンスも受け付けております。どうぞお気軽にご連絡ください。
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みらい歯科 院長 出口 真太郎